可もなく不可もないセルラー5Gタブレット「Lenovo Tab M10a 5G LET02」レビュー
- 2025.06.15
- ハードウェア

Lenovo TAB6から買い替えてメイン機になったのでとりあえず書いてみることにした。
個人的には結構名機に近い。
ベースモデルと兄弟機と先代と
まずベースモデルから。
ベースモデルはデザインやスペックなどから「Tab M10 5G」(TB360ZU)だと思われます。
型番違いでインドなどで販売されており、インド版Amazonだと18000ルピー(30000円前後)で販売されています。
また、LET02には兄弟機といえる機種が国内に2機種あります。
まずは、ソフトバンクのLenovo TAB7です。
こちらは対応バンドを含めたスペックどころかデザインやソフトウェアの動きまで同じM10 5Gベースのキャリアが違う兄弟機どころか双子機といえるものになります。
もう1つは、ドコモのdtab d-52Cです。
SoCやストレージ、メモリなどは同じですが対応バンドが異なり、画面が8.4インチと小さめでコンセプトが明確に違う機種となります。
先代といえる機種が国内に2個あるのも珍しいところといえるかもしれません。
auのキャリア的な先代モデルは「Lenovo Tab P11 5G LET01」です。
11インチで4スピーカー、SoCがSnapdragonの700番台とLET02よりは世代こそ進んでいますがミドルハイ相当からミドルクラス相当に設計思想としてのスペックは抑えめになっています。(実際ベンチマークでみるとモデルが進んでいるにもかかわらず、LET01とLET02ではそんなに大きな差異がみられません。)
なので、ソフトバンク版であるLenovo TAB7の先代にあたるLenovo TAB6(Snapdragon 690)のほうが先代モデルとして適当なのではないかと思います。
Lenovo TAB7とLET02
さて、ソフトバンクの双子機であるLenovo TAB7とどちらを買うといいかという話をしてみようと思います。
ハードウェア的な違いは対応バンドを含めて同じであり存在しないと思われます。
そうなるとソフトウェアですが、スペックシート上の機能についてもほぼ同じです。
プリインストールアプリがMy SoftBankなのか、My auやMy UQ mobileであるかぐらいの差異しかありません。
つながる!LAVIEやFMラジオもどちらのモデルにも搭載されています。
では何が大きな違いかというと、キャリアのOSアップデートです。
ソフトバンクは昔からOSアップデートに消極的であり、Lenovo TAB7も発売時のAndroid 13のままセキュリティアップデートのみが降ってきている状態です。
一方、LET02はすでにAndroid 14アップデートが配信されており、Android 15へのアップデートも予定されています。
OSが2世代も変わるなら少し高くてもau版を買っておくのがいいかもしれません。
スペック
さて、LET02の話に入っていきます。
セルラーのこの世代のAndroidタブレットは横並びとなっており、Snapdragon 695でメモリ4GB・ストレージ64GBというのが標準装備となります。
そもそも製品サイクルがスマホほどではないというデメリットを抱えているAndroidタブレット市場なのでスマホ比では数年遅れのスペックとなっています。
SoCはSnapdragon 695で2021年末にデビューした当時のミドルレンジスマホによく搭載されていたモデルとなります。
相当古いSoCを積んでいます。
対応バンドについては5Gはn3・n28・n41・n77・n78となっておりミリ波とドコモで使われるn79には非対応です。
4Gはバンド1・3・8・11・18・26・28・41・42です。
au・UQ・ソフトバンク・楽天ではプラチナバンドと5Gバンド全てに対応しており、ミリ波につながらない以外は問題なく利用できます。
ドコモに関してもバンド19には非対応ですが、現在はプラチナバンドであるバンド19基地局もバンド26として通信できますのでエリア的には問題なく利用できます。
5Gのn79に対応していないのでその分5Gエリアが狭くなる問題があるのみです。
各キャリアの5G SA(スタンドアローン)に対応しています。
UQでは従来の5G契約で動作確認されているようですが、5G SA SIM(UQ ICカード 05)でも利用できました。
また、UQの5G SA SIMをさすと「5G SA を使用」の項目が表示されます。
LET01では他社SIMでSMSが受信出来ない不具合がありましたが、本機ではドコモなど他キャリアでもSMSの受信が出来ました。
スピーカーは横置きしたときの左右に搭載されています。
Dolby Atmosに対応しており、音質はそこそこです。
ちゃんとチューニングされたiPadなどには叶いません。
イヤホンジャックがありますし、ワイヤレスでもLDACやapt-X HDに対応していますので音声まわりは特に問題になることはないかと思います。
デザイン
デザインに関してはやはり裏面の2色の色分けが目を引きます。
フロストブルーはよかったのですが、アーティスティックグレーも画面で見るよりかなり明るめのグレーで気分が明るくなります。
ただ、つや消し加工の色なのですがかなり指紋がつきますので定期的に掃除するなりフィルムかケースをつけるなりの対策は必要そうです。
画面側も同様にガラスフィルムなどをつけておくのがいいかと思います。
画面はラウンドエッジ加工されていますが、曲面ディスプレイなどは使われていないので、安いガラスフィルムが剥がれにくいのはいい点だと思います。
タブレットということでノングレアフィルムとの選択はお好みで。
ベゼルは画面占有率約83.6%ということで狭めですが貧弱に見えるほど狭すぎることもなくいいバランスだと思います。
ベンチマークと体感
Antutuベンチマークを回してみるとスコア43万点でした。
総合スコアだけで見ると、Snapdragon 695を積んでいる他のモデルと比べて極端に低い・高いという点はみられません。
同じSnapdragon 695搭載のdtab d-51Cのスコアも貼っておきます。
ソフトウェアのつくり
使ってみて特殊だなと思った点がいくつかあるので、そこを書いておきます。
まずは3ボタンナビゲーションの挙動について。
先ほどの画像にもありましたが、タスクバーのようなものがナビゲーションバーに常時表示されナビゲーションの3ボタンは右端にまとめて表示されます。
厳密にはタスクバーのようですがマルチタスクを表示するものではなく、単にアプリランチャーとして機能します。
設定を見る限り切ることはできないようですが、表示するアプリはホーム画面の下段と共通で「すべてのアプリケーション」ボタンのみはオンオフの切り替えができます。
すべてのアプリと「すべてのアプリケーション」ボタンを表示しない設定にしてもナビゲーションボタンは右端にまとまる仕様です。
一部アプリ(たとえばピクセラのテレビアプリなど)の解像度取得に干渉してアプリの表示がおかしくなることがあります。
次にスクリーンショットについて。
スクリーンショットを撮影時には音量やマナーモードの設定にかかわらず最大音量でシャッター音がなります。
これはLET01でも同じ仕様だったようで継続です。
Lenovo TAB6ではマナーモードと連動して消音になったのですが、Lenovo TAB7・d-52C・LET02ではLET01と同じ爆音スクリーンショット仕様に変更になったようです。
細かいところではFMラジオアプリのワイドFMのプリセット。
Lenovo系のFMラジオアプリはたいがいこの現象が起こるのですが、地域プリセットが「日本」と「日本(ワイド)」に分かれており、切り替えをするかユーザー定義プリセットを設定する必要があること。
ひと手間設定をすればいいだけなのですが、メーカーとしてなぜこのような実装が続いているのか謎です。
いろいろ書きましたがUIはAOSP(Android標準)に極めて近いUIとなっていますので迷うことはないと思います。
グローバル版のタブレットで採用されているZUIは利用できません。
AOSPつながりでシステムフォントはNoto Sansとなっており、UDフォントを採用してほしいところですがシステムフォントを変更する項目などはありません。
Lenovo TAB6とくらべて
先代にあたるLenovo TAB6を使っていたのですがそちらと比べると体感として桁違いにサクサク動きます。
ソフトウェアのチューニングが良くなったからなのかSoCが1世代上がったからなのかはわかりませんが。
ただ、YouTubeアプリの動画部分以外のUIがたまに真っ白になるなど不安定さはまだ残っている感じはあります。
ナビゲーションの仕様などプレーンなAndroidに近いのはLenovo TAB6ですが、LET02でも大幅に変わっているところはなく問題なく移行できると思います。
「キッズスペース」「PCモード」「学習モード」といったUI系の機能はまるごとなくなっていますのでそのあたりを使っていた人は戸惑うかもしれません。
また、PCモードに関連してSoCが変わった関係か「DP Alt Mode」(簡単に言うと外部画面出力)がなくなっています。
ミドルレンジには荷が重くまともに使えなかった記憶しかありませんが一応。
独自機能
セカンドディスプレイ機能が目玉として搭載されています。
「つながる!LAVIE」アプリをインストールしたパソコンと同じネットワークにつなぐとネットワーク経由でサブディスプレイにできます。
LAVIEとついていますがNECのLAVIE以外のパソコンでもMicrosoft Storeからダウンロードしてインストールすることができます。
拡張(デュアルディスプレイ)としても複製(パソコンと同じ画面を表示)としても使うことが出来ますが、本体の縦横比的に複製で使うのは微妙かなと思います。
選択できる解像度はWXGAとWUXGAより少し狭いFHD+、本体解像度ネイティブの2Kの3種類でした。
また、タッチパネルとして認識されていますのでタブレットの画面をタッチして操作もできますしペンも使えるようです。
マルチタッチもできました。
スピーカーやキーボードも認識されていますのでタブレット側から音声出力もできますので、サブディスプレイと言わずシンクライアント的な使い方もできるかと思います。
使ってみたところ、ラグや画質の崩れやコマ落ちも見られませんでした。動画を再生するとさすがにブロックノイズが出ますが、ブラウザを使ったり文書作成をしたりなどの作業では問題ないクオリティかと思います。
その他、ウィンドウ管理ツールとして「One Vision」が搭載されており、「スマートローテーション」「フローティングウィンドウ」「分割画面」の3つが使えるようです。
あとは大事なバッテリー保護モードも使えます。
40%~60%維持と他メーカーの80%、90%程度よりかなり低い残量で維持しますが持ち出さずに家の中で使うときはオンで問題ないかと思います。
内部的にはどうなってるかわかりませんが、ダイレクト給電を選択できるような設定項目はありませんでした。
まとめ
Androidタブレットとしては平凡ですが、セルラーモデルのAndroidタブレットがほしいのなら本機は中古相場で2万円前後なので買いだとは思います。
逆にLTE・5Gが不要なら7s Gen 2なPOCO Padや同じ695でもソフトウェアの出来が上であろうGalaxy Tab A9+なんかも検討してみてはいいのではないでしょうか。
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